この間、インビザラインに関して伊藤先生に教わったことを皆さんに伝えたくて・・・。
はい、今度はどんな情報をゲットされてきたのですか?(下記の画像を見る)・・・頭の周りの、静脈、動脈・・・緑は、なんですか?
緑は、リンパね。顎関節(がくかんせつ)がズレると、こんなことが起こってくる・・・というのが右下にあります。顎関節、つまりアゴの周りには、血管、リンパ、生きていく上にとても大事な管がイッパイあるので、右下にあるような様々なことと関係があるよ、ということね。それはインビザラインでの矯正にもつながってきます。
前歯の歯並びのキレイさだけではなく、奥歯の噛み合わせも見る必要があるのに・・・これ、奥、空いてるやん。
これは普通の矯正医は正しい噛み合わせと思うわけ。先ほど話した顎関節とか頸椎(けいつい:首の骨)とか全体を考えた嚙み合わせが、これ(下記動画)なのね。どう変えるのかというと、右の噛み合わせを変えている。
口元分る?この人の下アゴは、前に出るのが正しい噛み合わせ、つまり「治療位(ちりょうい)」にすることが大事。それが私たちの目標とするところです。
普通の矯正医は歯並び、つまり「咬合位(こうごうい)」だけを診る。確かに見た目はキレイになります。でも本当の矯正医は、噛み合わせも含めた歯並びの「治療位」を診るわけ。
左が治療前、右が治療後。頸椎(けいつい:下記画像>赤線部)も曲がっているの、わかる?
まっすぐな方が良い?
そう、以前、このボールの説明したよね。→詳しくはこちら
頸椎(首の骨)の上は5キロの頭がある。首が曲がっていたら、10キロとか20キロの負担が掛かる=肩が凝る。あと、気道が広がっているの、分かる?
分かります。
頸椎(首の骨)とか、気道とか、顎関節とか考えながらインビザラインのクリンチェック(歯並びシミュレーション)を作らないといけない。首の位置が変わっていくのも、分かるでしょう?
その効果が分かるのがこの動画。(下記動画参照)前屈したら、治療後(右側)の方が全然曲がるやん。
正しい嚙み合わせだから右側の人はよく前屈できる?
その通りです。奥歯が噛んでいないのは、正しい噛み合わせではない。奥歯も含めて「正しい『噛み合わせの』位置」を目指して矯正をしないといけない。気道や頸椎も考える信頼が出来るドクターにやってもらわないと、体を壊します。
先ほどの動画の右側「正しい噛み合わせの位置」は、インビザラインのクリンチェック(自動的に作る矯正シミュレーション)で出来るんですか?
イヤ、出来ない。ドクターが指示をしないといけない。見極められる人じゃないと出来ない、インビザラインをやっている先生みんなが出来る訳じゃない。噛み合わせのことが分かっている人がやるべきなんです。この奥歯が噛み合ってないのではダメなのです。
NGな噛み合わせ(奥歯が噛み合ってない)
結局この方の矯正は奥歯を挺出(ていしゅつ)させる、つまり奥歯を伸ばして噛ませるわけ。ゴールを前歯が噛むからOKとする矯正とは、全く違います。でも、この人の本来に噛み合わせはこうなの(下の動画)。
OKな噛み合わせ
正しい噛み合わせの位置は、年取ると歯がすり減るから変っていきます。同じように、歯医者さんがかぶせ物を入れたらメッチャ変わる。小さな詰め物を入れることによって、歯医者さんが噛み合わせを変えてしまう。「歯医者(はいしゃ)」じゃなくて「破壊者(はかいしゃ)」になっちゃう。
―(笑)
高いとか低いというのは、患者さんじゃなくてプロフェッショナルである歯医者さんが決めるはずなのね。診断のゴールが最初から違うんです。ちなみに、この人は偏頭痛とかあったんだけど、よくなったそうです。
立っている姿勢が違いますもんね。
「初めの診断」が大事なんです。
挺出(ていしゅつ。対義語は「圧下:あっか」)って歯の根っこが出て、しみません?
全然大丈夫、もともと歯周病があってしみる場合はあります。普通にやっている範囲内では大丈夫です。「中心位」の噛み合わせでなく、私たちが診ないといけないのは「治療位」。それを意識しないでやっている先生がほとんどです。
正しい噛み合わせの位置を意識したドクターにインビザラインをお願いしなきゃいけない。でも、そうでないドクターが多い。
クリンチェックの言いなりじゃ駄目よ。「奥歯を噛ませる」これが正しい矯正です。前歯しか噛んでない、ではなくて、奥歯にも噛ませる・・・これが正しい噛み合わせなんです。
そのゴールのための挺出(ていしゅつ:歯を引っ張り出す)がインビザラインだと出来るんですね。マウスピースだからできる、ワイヤーでは難しいんです。さっきの動画が一番シンプルだと思います。
取材後記
先生は、本当に勉強し続けているなと毎度思います。新しい学びがあると、治療に生かす。歯の矯正は、歯が動いて初めて成り立ちますが、素人はなかなかイメージがしづらいのが本音です。
しかし今回の説明は動画を駆使してお話してくれたので、納得度が全然違いました。まだまだ新しい治療法であるインビザラインの進化のスピードは日進月歩です。
患者さんのために、これからもどうぞよろしくお願いいたします。